1.2月と冬も本番のこの時期、おでんやお鍋が食べたくなりますよね。
そんな時、温かい料理と合わせたいのがやっぱり熱燗!
日本酒は一般的には冷やして提供されることの方が多いですが、寒い季節は冷酒ではなく
熱燗をクイっと飲んで芯から体を温めたいですね。
そもそも熱燗の歴史は古く、平安時代にはすでに日本酒を温めて飲む文化があった様です。
世界的に見ても、アルコール自体を温めて飲酒することはとても珍しく、日本特有の文化の一つです。
今回はそんな熱燗の楽しみ方や、熱燗に適した日本酒の選び方などを紹介していきます!
熱燗の効果
体への効果
皆さんは熱燗に対してどの様なイメージをお持ちでしょうか?
よく聞くのが、「二日酔いになる」「アルコール感が増す」「酔いやすい」です。
確かに、熱燗は体への吸収が早い分一気に飲んでしまうと酔いが早くなるのは事実です。
ですが実際には、冷酒と比べると吸収が早い分、アルコール分解も早くなり実は二日酔いを防ぐ効果があります。
冷酒は飲み口が軽く、フルーティーなものであれば尚更飲みやすく感じますが、日本酒のアルコール度数はビールやワインよりも高く
気づいた時には結構酔いが回っているなんてことが起こりやすいのです。
一方、熱燗はより人肌に近いため、酔いを感じるのが冷酒より早い分、飲み過ぎ防止にもなります。
また、体を温めることでストレス緩和や疲労回復にも役立ちます。
味わいの違い
日本酒には様々な味の要素が含まれています。
米由来の甘味や旨味、麹や酵母による酸味やフルーツ感、そして苦味など
一口でたくさんの味を感じます。
基本的に、冷酒は味わいがシャープですっきりとした印象でフルーティーな香りを楽しむことができます。
一方で熱燗はコクが強く、また、熱することでアルコール分が若干飛び、まろやかな印象になります。
というのも、味の五代要素(五味)という言葉がありますが、
『甘・旨・苦・酸・塩』の五味の味わいは温度によって感じ方が変化します。
そのため全く同じ日本酒でも、温度が違えば異なった日本酒の様に感じるのです。
例えば、旨味と甘味は適度に温めることにより強く感じられ、苦味は逆に弱くなります。
酸味成分自体は温度による変化はあまりないですが、甘味が増すと酸味は穏やかに感じるため結果的により甘くなります。
このように熱燗にすることで、旨味と甘味が増し、酸味と苦味が抑えられるため、熱燗はまろやかで本来飲みやすいのです。
また、温める温度は様々で約35℃〜55℃と幅広く、温度帯によって味わいの引き立ち方が変化します。
例えば、甘味と旨味が一番感じられる温度が人肌であることから、35〜40℃のぬる燗にすると非常に飲みやすくなり、
また、45〜55℃の上燗、熱燗にすると味のボリュームが強くなり、キレのある辛口に変化します。
食事時は食べ物と日本酒の温度を合わせたり、特別寒い日には熱々のとびきり燗にしてみるのも違った楽しみ方の一つです。
日本酒の温め方と最適な種類
燗酒の方法は幾つかありますが、湯煎でつけるのが一般的で最適な方法です。
温め方は簡単で、お湯を沸かした鍋やケトルの中にお酒を入れた徳利またはちろりを湯煎し、酒が温まるのを待ちます。
ゆる燗(40℃前後)で約2分、熱燗(50℃前後)で約3分つけます。
様子を見ながら、好みのタイミングで引き上げ、お猪口に注いで楽しみます。
湯煎の他にも、レンジで温めることも可能です。レンジを使用する場合は温め過ぎに注意しましょう。
沸騰寸前まで熱くなると味のバランスが崩れ、アルコールの苦味やツンとした匂いが出てきてしまいます。
そして、温めるのに最適な日本酒の種類ですが、一般的には精米歩合が高く、華やかな香りがある吟醸酒は避け、
旨味の強い精米歩合の低い純米酒や本醸造がおすすめです。
燗酒愉しみ方応用編
冬の醍醐味である熱燗は冬の料理に合わせることで、また一味違う魅力を見せてくれます。
そのひとつが『ひれ酒』です。
関西を中心に食べられている河豚ですが、11月〜2月に旬を迎え、その中でもふぐ鍋は格別です。
そんな河豚のヒレを乾燥させ炙ったものを熱々の日本酒に入れて飲むのがひれ酒。
ヒレの旨味と香ばしい香りが熱燗に溶け込み、ふぐ鍋との相性は抜群です。
そしてもうひとつ紹介したいのが、『出汁割』です。
こちらは、寒い季節に食べたくなるおでんと熱燗の愉しみ方です。
作り方はシンプル。熱燗とおでんの出汁を1:1で割るだけです。
米の旨味と出汁の旨味が見事にマッチし、アルコール度数が少し下がり、とっても飲みやすくなります。
お好みで七味や柚子皮を少し入れると香りも良く、アクセントになります。
まとめ
いかがでしたか?一口に熱燗と言っても、選ぶ日本酒の種類や温度帯で楽しみ方は様々で、それぞれ違った味わいがあります。
まだまだ寒い季節が続くので、この冬は熱燗でポカポカになりましょう。
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大阪出身の酒ソムリエ(Sake Diploma)
日本酒好きが高じて蔵人として酒造りを経験。日本酒の魅力の多くの人に伝えるため日々活動中。