恒例になりつつある酒蔵訪問ですが、今回は京都から少し足を伸ばしお隣滋賀県まで行ってきました。
今回は訪問した4蔵の基本情報とイチオシの日本酒をそれぞれ紹介していきたいと思います。
古川酒造
古川酒造は東海道の宿場町である草津にある小さな蔵。
現代的な機械は使用せずに手造りにこだわり、地元の近江米を中心に丁寧な酒造りを行なっています。
JR南草津駅から徒歩15分程歩いた東海道沿いにあり、中に入ると小さくも情緒ある昔ながらの建物からは美味しい日本酒の予感です。
古川酒造では繊細と言うよりは骨太で濃醇甘口の酒が多く、そんな日本酒の中から4種類を頂きました。
中でも、印象的だったのが近江の飯米「みずかがみ」を100%使用した特別純米生原酒です。
米の旨味がしっかりとありながらも重すぎない、そして甘口ながらもキレの良い、搾りたて生原酒はこの時期だけのフレッシュな味わいです。
古川酒造 Website / Google map
太田酒造
こちらも東海道沿いにある酒蔵です。
明治の初めに酒造りを始め、遠祖である将軍「太田道灌」の名前に因んで主銘柄である「道灌」を主に、様々な種類の日本酒を造っています。
日本酒以外にも、自社で栽培した葡萄で作ったワインや、梅酒、焼酎なども販売されています。
建物はとても立派で、広々とした店内にはずらりと様々な商品が並んでいました。
太田酒造では主に山田錦、滋賀県の酒造好適米の吟吹雪、渡船6号を使用しているそうです。
たくさんの商品の中から杜氏さんおすすめの一本が、吟吹雪100%使用の特別純米 無濾過無加水生原酒です。
米の旨味と穏やかで綺麗な吟醸香が特徴で、アルコール度数15%の原酒なので、飲みやすく食中酒としてぴったりなお酒でした。
太田酒造 Website / Google map
美冨久酒造
美冨久酒造は東海道宿場町”水口宿”沿いにある酒蔵です。
自然の乳酸菌を用いた昔ながらの山廃仕込みと、現代の技術を用いた吟醸仕込みの両方を極めた手造りの地酒を醸しています。
店内は昔の蔵を改装したカフェと2階には昔の酒造りの道具などを展示したスペースがあり、そこからは実際に発酵中のタンクを上から覗くこともできます。
春から秋口にかけて、蔵見学も実施しているので、次回はぜひ参加してみたいですね。
今回、美冨久酒造で試飲した中で一番好みだっだのが、冬季限定しばりたて無濾過生原酒「でけたて」です。
こちらは本醸造で、新酒ならではのフレッシュ感と優しい米の甘味があり、まさに「でけたて」の瑞々しい味わいでした。
試飲では、冷酒を頂きましたが温めて飲むのもおすすめです。
美冨久酒造 Website / Google map
北島酒造
最後に訪問したのは、湖南市で創業から約200年近江の地酒を造る北島酒造です。
北島酒造のこだわりは特に水。仕込み水に琵琶湖の東に広がる鈴鹿山系のまろやかな軟水である伏流水を使用することによって米の旨味を引き出しています。
店内に入るとまず目に付いたのが水琴窟と呼ばれる水の音色を楽しむ日本庭園の装飾のひとつです。
大吟醸を搾る際に雫が落ちる音をイメージして設置したそうで、そのお水は仕込み水と同じもので実際にすくって飲むこともできます。
水へのこだわりが伺えますね。
ほとんど地元の近江を使用して造る北島酒造の日本酒の中から試飲して一番印象に残った一本が滋賀旭を使用し、天然酵母で醸した純米生酛「エン」です。
完全発酵によるピリッと辛い中には、生酛造りによる程よい酸味があり、後味は濃縮されたような旨味が口に広がるそんな個性あるお酒でした。
北島酒造 Website / Google map
終わりに
滋賀県の酒蔵は初めての訪問でしたが、京都とはまた違った酒造りや歴史に触れることができました。
やはり、酒蔵や日本酒造りはその土地土地に根付いた文化や歴史を語る要素のひとつであると改めて気付き、日本酒一つ一つからその酒蔵の思いやこだわりの違いを感じることができる良い機会となりました。
大阪出身の酒ソムリエ(Sake Diploma)
日本酒好きが高じて蔵人として酒造りを経験。日本酒の魅力の多くの人に伝えるため日々活動中。