日本酒のラベルで見かける「生酛」「山廃」とは?
酒屋に入って日本酒を選ぶ時、まずラベルを見ると思います。ラベルにはその日本酒の特徴が想像できるように様々な情報が書かれてます。
日本酒のラベルの中で「生酛」「山廃」などの文字を見つけたことはないでしょうか?
では、この「生酛」「山廃」とは何なのでしょうか?
もくじ
日本酒の土台—「酒母」
日本酒造りの中で重要な工程の一つである「酒母」。酒母とは日本酒を作るための土台となるもので、アルコールを生成する為の酵母を大量に培養させるのが目的です。
酵母は非常にデリケートで、微生物や雑菌が入り込むとすぐに死んでしまいます。酵母は微生物や雑菌に弱い一方、酸性には強い特徴があります。
酒母を造るには酸性をどのように保つかがポイントになり、そのために「乳酸」を利用しています。
酒母には「速醸系酒母」と「生酛系酒母」と造り方によって違う2種類があります。この「乳酸」をどのように取得するのかで酒母のタイプが分かれます。
✔️「速醸系酒母」は酸性を保つために、人工的に作られた乳酸を加えた酒母です。
✔️「生酛系酒母」は、酒蔵の中に生息している天然の乳酸菌を取り込むことによって作られる酒母です。
「生酛」と「山廃」造り方の違い
最初に述べた「生酛」「山廃」は「生酛系酒母」を使った日本酒です。
生酛系酒母
・・・天然の乳酸菌を相手にしているので速醸系と比べると時間がかかります。また、乳酸が十分に生成する前に雑菌が入りこまないように監視を頻繁に行い、環境を整える必要があります。
この生酛系酒母造りでは、まずは蔵や酒造道具の中に眠っている天然の乳酸菌を生成させます。十分に乳酸菌が生成され、微生物や雑菌が不利になったところで酵母を追加します。
酵母は酸性に強いので、米に含まれている糖を糧に増えていきます。酵母が糖を消費する際にアルコールが生成され、アルコールの濃度が上がるとアルコールにより乳酸菌は死滅します。
生酛系酒母は、天然の乳酸菌を相手にしている為、力強い酵母に育ちます。
この生酛系酒母造りで乳酸菌を生成する際、伝統的な工程の「山卸し」というものがあります。
「山卸し」とは蒸米、麹、仕込み水を桶に入れて数時間ごとに数十分すり潰しながら混ぜる作業のことです。
寒い冬の時期に昼夜問わず、1つの桶に対して2人で混ぜる大変な作業です。
この「山卸し」の作業があるのが「生酛」です。
反対に「山卸し」の作業がないのが「山廃」です。
「生酛」も「山廃」も土台の酒母が同じ、兄弟のようなものだったのです。
「生酛」と「山廃」— 味の違い、オススメのお料理とのペアリング
では、この「生酛」で造られた日本酒はどのような風味・味になるのでしょう?
生酛造りの日本酒は強い酵母によって雑味の発生源がより多く除去されます。
そのため、キリッとしたスッキリした端正な風味になり、豊かな香りとコクが感じられる力強い味を楽しめます。
また、自然の乳酸を使っているので自然な酸味を感じることができます。
バーニャカウダやサバの味噌煮など、クリームチーズやバター、味噌などを使った料理と相性がいいです。
山廃造りも同じ、生酛系酒母で仕込んでいるので同じような傾向にあります。
ただ、生酛造りの日本酒よりも、山廃仕込みの日本酒の方がまろやかな風味です。
また、山廃仕込みの日本酒の方がアミノ酸がたっぷり含まれているので香りを楽しむよりは、旨味のある、ふくよかな味わいを楽しめます。
山廃仕込みの日本酒の方が味がしっかりとしているので、焼き鳥や豚の角煮など味のしっかりした料理と相性がいいです。
また、旨味もあるのでコクのあるチーズフォンデュなどのチーズやクリーム系のお料理と一緒にも楽しめます。
まとめ—日本酒体験をしてみよう!
日本酒のラベルには、その日本酒がどのような味や風味を持っているのかのヒントが所々に書かれてます。
コツさえ掴めば、自分が欲しい日本酒を選ぶのは難しくありません。
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